初見(しょけん)
とは、初めて見た楽譜を練習せずに一回目で弾く事です。
パッと出された楽譜を練習をしないでスラスラ弾ける人っていますよね。
「羨ましいなぁ」「便利だなぁ」と思う方もいるでしょう。
その通りです。
かなり便利です。
でも「初見力」というのは元々備わっている才能ではありません。
これは訓練の賜物なのです。
地道な努力の果てに身に付いた能力なのです。
今私達は日本語の本をスラスラ読む事ができます。
これは小さい時から本を読み、作文を書き、感想文を書き、漢字の練習もして、
なおかつ国語の授業では朗読したり等
ありとあらゆることをして字と触れ合ってきたわけです。
今うちに来ている4歳の男の子も文字を見れば
一文字一文字指を指しながら
「し・よ・う・ぼ・う・し・や」
と読んでいます。
「や」は小さい「ゃ」です
まだ「しゃ」と読めないわけです。
大人の私達は「しょうぼうしゃ」と見ただけで
「消防車」と頭の中で瞬時に変換できます。
ピアノも同じです。
まずは一音一音読む事から始まり、鍵盤の位置を確認し、指を動かします。
慣れてくると複数の並びを一つの固まりとして捉えることができます。
固まりとして捉える事が出来るくらい楽譜を見慣れて来たとしても
今度はここからさらに
・リズム
・使用する指
という事が加わるのでえらい事になるわけです。
私の体感では初見は自分のピアノスキルの約2割くらいを使って行っている感じがします。
つまりその人にとって初見で弾けるレベルのものは
その人のピアノレベルはその5倍くらいある、という事になります。
データとったわけではないですし、かなり曖昧ですがあながち間違いではないと思っています。周りを見ていてもそう感じます。
その便利な「初見力」はどうやったら付くかと言うと、
先程書いてあるまずピアノスキルをレベルアップすることには間違いないのですが
普段の練習にもより効果的な方法を取り入れると初見力は付きやすいと思います。
その方法は
「初見で弾く」
ことです。
それができないから、困ってるのに何その答え。
と、なるでしょうか。
まず普段弾いているものより、易しめの楽譜を用意します。
そしていきなり弾き始めるのではなく、一度じっくり最初から最後まで目を通して頭の中でシュミレーションします。指は鍵盤の上でなければ動かしても構いません。
出来る事なら音もイメージして大体どんな曲かを把握します。
そしてどこが難しいかを見つけて、難しい箇所は何度も指を動かして確認します。
それができるまでまだ鍵盤で弾いてはいけません。
最後まで止まらない(ここ重要)で弾けると思えるようになったらいざ鍵盤へ!
とにかく止まらないで弾くことが重要です。
視線は今現在弾いている箇所の先を見ます。
慣れていない人は段の変わり目で止まりやすいのですが
ここは頑張って、一段目の最後の小節を弾いている時には視線は二段目の頭を捉えるようにします。
とにかく音楽は流れているので視線だけはストップせずに先へ進む。
鍵盤は必要最小限しか見ない。
いきなり弾き始めて、間違ったらまたやり直し。
では初見力はつきません。
初見力がつくと、譜読みが圧倒的に速くなるため練習の時間がかなり短縮されます。
音色や、曲の中身に早い段階で取りかかれるので初見力はできるだけ身に付けておきたいものです。