ショパンの最も有名で、人気の高い作品の1つ
「子犬のワルツ」
1846~1847作曲。1847年出版。
デルフィーヌ(デルフィナ)・ポトツカ伯爵夫人に献呈。
と言うことはショパン36〜37歳くらいの作品です。
ショパンの恋人のジョルジュ・サンドは大変犬好きで4匹も飼っており、ショパンも大変可愛がっていたそうです。
この作品は「子犬が自分の尻尾を追って、くるくる回る様」を表していると言われています。
どんな子犬なのか想像するのも楽しいですね。
この曲のある箇所でお悩み中の方がいらしたので、今回記事にしてみました。
まず大体共通するポイントはあります。
子犬のワルツあるあるです。
●左手の音量。
左手は軽く弾きましょう。絶対に右手より大きくなってはいけません。これは子犬に限らずどんな曲でも言えることですが、特にワルツで2拍目、3拍目がうるさいとかなり野暮ったい演奏になります。
両手ばかりの練習をしていると、右手のメロディーに引きづられて「右手より」の演奏になってしまいます。伴奏者とメロディーは別々の意識を持って弾けるようになることが大切です。
●10小節目の右手のトリル。
これは難しいです。トリルを入れることによって元々の八分音符が崩れてしまうことがとても多いです。まずはトリル抜きで八分音符が崩れない練習をしましょう。
●21小節目の右手の三連符。
この三連符は本当に崩れやすいです。10小節目の右手のトリルを一生懸命練習しているせいか、三連符もトリルのように弾いてしまいがちです。
きちんと三連符で弾けるようになってから速く弾きましょう。
よくプロの演奏なんかではとても速い演奏のため
「トリルみたいに聞こえるんだから、別にいいじゃん」と思うのか割と無視されがちなんですが、プロの方は速度を落とすとちゃんと三連符で弾けるんです。
そして弾ける人はちゃんと聞き分けられるのです。
この3点は大体子犬を初めて弾く人のほぼ80%の割合で起こる現象です。
では次に知人の具体的なお悩みをこの場を借りて考察してみたいと思います。
<お悩み1>
24〜25小節目の右手の指遣いが弾きづらい。
大体このように4指→5指となっている楽譜が多いです。
こういう運指は特にショパンではとても多いのですが、手首が柔らかくないと弾きづらいのです。ただ、この運指はとても柔らかいニュアンスをつけることができます。
ドの音を5にすることによって乱暴に弾くことは必然的に避けられ、その後54321と非常にスムーズな流れを生み出すことができます。
4指、5指は弱いのでこういう練習方法もありです。
慣れてきたら速くネ♪
で、さらに慣れてきたら、①、③、④の練習をするときに1指でファを押さえながら弾きます。②の練習は1の指を使うのでこの場合は省きます。
1指をファに置いておく理由はドシラソファと下降したときに、ファの音を1指で弾くからです。ドを5指で弾いてる時にすでにファに1指があると指がバタバタしないし、ミスもしにくく綺麗に弾けます。
さらっと書いてますが、やさしい練習ではないです。
このタイプの練習は長時間根を詰めずに一回5〜10分程度に留めて、毎日やるのがいいです。
で、上記の練習をコツコツやったところですぐに自由に指が動くわけではありませんし、手首が硬い人にとっては手を痛める場合も考えられますので、もう1つの運指法も提案してみます。
これです。
5を使わない方法。
個人的にはこれもアリだと思います。
「一ヶ月後本番なのよ!時間のかかる練習なんてしてられないわ!」という方なんかもこちらで全然いいと思います。
ただ、この運指で気をつけたいのは1が飛び出さないようにすることと、1指→4指が粒が揃いにくい問題も出てくるのでここは要注意です。
<お悩み2>
4小節間の長いトリルの後がスムーズに入れない。
一呼吸置いてしまうとのこと。74小節目に入る部分ですね。
こんな感じで小節で区切らずに何回も弾きます。
指が慣れるまで、無意識でも弾けるようになるくらい何十回でも何百回でも弾きます。
そして少しづつ前後の音を増やしていきます。まずはトリルの方を増やしていくのがいいと思います。トリルを増やしていった場合、同時に拍感も感じるようにしていきましょう。
指を意識して弾いてるうちはここはスムーズに入るのは難しいと思います。
トリルを弾きながら次に出てくる「そらどしそら どしそらどし」を頭の中で歌えることができるくらいまでやるのがいいと思います。
そして自由に弾けるようになったら自分なりのニュアンスをつけてみてはどうでしょうか。
とにかく練習練習!
子犬のワルツのシプリアン・カツァリス氏のマスタークラスのレッスン動画をご紹介します。素晴らしいですよ!!
Katsaris Chopin Masterclass Vol.2 Valse Op.64-1 1 of 2